学校や園の尿検査で再検査を言われた方へ
学校腎臓病検診(学校で1年に1回行う尿検査のこと)は、早期に慢性の腎臓病を発見することを目的に導入されました(幼稚園で行っている検診も同様です)。
慢性の腎臓病は、症状がかなり進行してからでないと症状として表に出てこないことが多く、その段階で発見されても既に腎臓の機能を元に戻せなくなってしまっています(T_T)。
このため、学校腎臓病検診で異常を指摘された場合は、元気だからいいや!ではなく、しっかり受診して検査を受けて早期に診断・治療をしましょう(‘ω’)ノ
当院でより詳しい尿検査や超音波検査での腎臓・尿路の評価ができます。お気軽にご相談ください。
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起立性蛋白尿
学校腎臓病検診で蛋白尿単独で指摘される原因としてもっとも多いものです。活動中に作られた尿で蛋白が検出されますが、眠っている間に作られた尿では蛋白質は検出されません。このため、学校の検診では、眠る直前に排尿して起床直後の尿を採るようにしなければなりません。腎機能予後には悪い影響はないと考えられており、特別な治療は要りません。
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尿が濃いだけ・・
眠っている間に作られる尿は眠前に大量に水分を取らない限り、かなり濃縮された尿となります。皆さんも朝起きた時の尿の色が濃いと感じた経験は多いのではないでしょうか?濃縮尿となると、尿中の蛋白濃度はどうしても上昇してしまうため、尿検査では蛋白質が陽性となってしまうことがあります。これに関しては病院で尿検査を受ければ区別可能です。
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病的な蛋白尿
上記の様に病的でないものの方が実際は多いですが、病的に蛋白尿が出ている場合は大きな問題が潜んでいる可能性があり、精密検査が必要となります。
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血尿
尿の見た目は問題ないのに、検査では血尿と言われることがあります(顕微鏡的血尿とか尿潜血陽性とか言われます)。顕微鏡的血尿のみの場合、良性のものもありますので、尿の検査を定期的に観察することになります(なので、受診は必要です)。しかし、蛋白尿が一緒に出てきたり、見た目にも血尿が分かる様な場合は精密検査が必要となります。一方で、思春期以上の女子の場合は月経でないかもしっかり区別する必要があります。
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慢性糸球体腎炎
学校腎臓病検診が対象とする主要な疾患です。糸球体とは何ぞや??となるかもしれませんが、腎臓にある『ろ過装置』と思ってください。この部分で炎症が起こると、血尿+蛋白尿が見られるようになります。この病気にはいくつかの種類がありますが、最も頻度として多いのは『IgA腎症』という病気です。上でも述べましたが、重症度にもよりますが放っておくと腎不全に進行する危険性がある病気です。しっかり診断してしっかり治療すれば治ることの多い病気でもあります(*’▽’)
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尿糖
小児の糖尿病が学校腎臓病検診で発見されることは多くはありません。一方で腎性糖尿といって、血糖値は高くないにも関わらず、尿中に糖が漏れ出してしまう状態があります。この場合治療が必要になることはありませんが、糖尿病との鑑別を要しますので、やはり受診してしっかり検査を受ける必要があります。
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